ギルドを出て、さっそく教えて貰った宿屋に向かう。
「いらっしゃいませ」
中に入るとすぐにカウンターから女性の声が聞こえてきた。声の方に顔を向けると、そこには20代半ばほどの女性がいた。
「お食事でしょうか?それともご宿泊ですか?」
「宿泊でお願いします。とりあえず1週間分お願いできますか?」 「畏まりました。食事付きで1泊40リムとなりますがよろしいでしょうか?」リブネントより10リムほど高いが、町と村の差を考えればむしろ安い方だろう。1週間としたのは情報収集と、できれば大きい町で例の木彫り細工の売り先の当てを付けておきたかったからなのだが、この額なら問題なさそうだ。そう考えて宿屋の女性という点から必要としていそうなものを提示する。
「あぁ、この辺の商品を対価に取引したいのだがどうだろうか?」
「そうですね。ではこれらを対価として頂きますね」交渉も問題なく済み部屋へと案内される。
「こちらになります。何かご不明な点がありましたらいつでもお呼びください」
「ありがとうございます」女性が部屋から出て行った後、俺は部屋の中を改めて確認した。
部屋の広さは6畳ほどで、ベッドと机が置いてあるだけのシンプルな内装だった。しかし、掃除は行き届いており清潔感があった。 そして何より、2階にも関わらず窓からは街が一望できる見事な景観だった。街の東側には賑やかな商業区が広がっており、反対の西側には高級そうな建物が多く見える。恐らくは貴族街なのだろう。(・・・そういえば、ハロルドさんに他に細工物が好きな貴族が居ないか聞いてみるべきだったな。)
知っていれば既にハロルドさん自身が交渉しているだろうと思って考えから除外していたが、よく考えたら雑貨屋の店主の制限で当てがあっても手を広げられなかった可能性もある。明日会えるようなら聞いてみるか。
あとは、この町の市場や商店を回って商品の仕入れ先を見つけること。そして、できれば他の商人と仲良くなって情報交換をすることか。 まぁ、本格的に動くのは明日にして今日は食事をとって早めに休もう。 そう思い部屋を出て1階商業区では様々な人達で賑わっていた。 店の前で客引きをしている店員もいれば、露天を開いている一帯もある。そこへ市民や旅人と思われる人など客もそれぞれに興味を持つところへ向かっている。 客が少ない時は露天の店主同士での雑談も見られる。普段から付き合いのある知人なのかもしれないが、話し掛けるきっかけとしては使えるかもしれない。 そう考えて、比較的空いてそうな露天の店主に話しかけた。「すみません。少し良いですか?」 「ん?なんだ。お客さんかい?」 「いえ。私は旅の商人なのですが、こちらで露店を開くにはどこかの許可など必要なのでしょうか?」 「あぁ、そういうことか。許可とかは必要ねえよ。この辺は自由に商売することが許されていてな、違法な場所取りや押し売りみたいなことをしない限りは捕まったりすることはねぇ」 「なるほど。そうなんですね。実は昨日この街へ来たばかりで、良ければお隣で色々聞かせて頂いてもよろしいですか?」 「あ~まぁ、客が居ない時は構わねぇよ。うちはそんなに客も来ねぇしな」店主は多少ばつが悪そうにそう答えた。 改めて見てみると、売り物は茶碗や壺など様々な陶器を扱っているようだ。 隣で適当に露店の準備をしながら聞いてみる。「扱っているのは陶器のようですが、もしかしてご自身で作られているんですか?」 「あぁ、元は趣味みたいなもんだがな。せっかく作っても一人で使いきれるもんじゃねぇし、ここで適当に売ってるんだ」 「それはすごいですね。しっかりした品の様に見えるんですが、陶芸歴は結構長いんですか?」 「そうだなぁ、もう12年程度になるか。祖父が陶芸家でな。小さい頃から教えられてたんだが、亡くなった時にその工房を引き継いでな。それからはこうやって日用品をちょくちょく作ってるってわけだ。」なるほど。元が趣味という割にしっかりして見えたのは祖父の影響と経験によるものだろうか。芸術的なものではないが一般家庭で使うには申し分ない品物だと思う。とはいえ、割れ物である陶器は私には扱いづらいな。。「なるほど。道理で本格的な物だと思いました。良ければ私に合いそうな茶碗などないでしょうか。できれば旅使いできそうな耐久性があるものだとありがたいのですが」 「旅使いか~ならこの辺のは割れにくい作りにしているからおすすめだぜ」
昨日と同じように宿で朝食を済ませてから、商業区で露店を広げる。 念のため物々交換の看板は少し見えにくい位置に移動させた。 お客さんも見落とす可能性はあるが、そこは適宜伝えればいいだけだ。 昨日の店主は見た感じ今日は来ていない様だった。 スキルの効果も問題ないようで、露店を開くと今日もお客さんが次々と訪れる。 ただ、こうなると物々交換という制約上荷物が段々と増えていく。 なるべく小さくて価値の高いもので交換して貰ってはいるが、早めに上位の道具袋を手に入れるか馬車の購入を検討したほうが良いかもしれない。そんなことを考えながら取引をしているうちに時間も夕暮れ時になってきた。 俺は昨日と同じように店じまいをして宿への帰路に着く。 すると、昨日とは別の曲がり角で、昨日の少年が飛び出してきた。 注意しながら歩いていたことで咄嗟に反応できた俺は避け様に彼の腕を掴んだ。「やっぱり君か。2日連続となると偶然じゃないよな?」 「ちっ!知らねえよ。さっさと放せ!」 「そうはいかない。懐中時計はどうした?返さないというなら、衛兵に突き出すしかないが」 「そ、それだけは止めてくれ!悪かった。そ、その時計は売ってしまってもう持ってないんだ・・・」そういうと少年は許しを請うように土下座してきた。 彼の必死さから嘘ではなさそうだと感じる。証拠もないのにしらばっくれるという選択をしなかったのは衛兵に捕まってしまうと余罪でバレてしまうのを恐れたからだろうか?「その様子だと商業区に出るスリの噂はやっぱり君か。なんでそんなことを?そこまで生活に困っているのか?」 「そ、それは・・・確かに生活は苦しいけど、街からの補助もあるし生きていけないほどじゃない。でも今は妹が病気で、薬代を稼がないといけないんだ。もし、今俺が捕まっちまったら妹が死んじまうんだよ!」なるほど。そういうことか。この様子だと恐らく両親も居ないのだろう。自分以外には妹を助けられないから仕方なくだとは思うが、かといってこのまま盗みをさせるのも良くないだろう。「その妹さん、何の病気なんだ?」 「詳しくは分かんない。スラムの子供なんて医者は嫌がって診てくれないから。咳が酷くて体が弱ってるみたいだから、咳止めと栄養がありそうなものを食べさせてるんだけど・・・」やっぱりこれだけ
朝起きると今日も窓の外からリリアさんの歌声が聞こえてきた。 窓から覗いてみるとやはり洗濯物を干しているようだ。 邪魔しない様にその歌声を聞きながら朝の支度をする。 今日はなんだかんだで行けていなかったハロルドさんのお店に行ってみるか。街に着いたときに教えて貰った店の場所を思い出しながらハロルドさんの店を探していると、とある店の前でちょうどハロルドさんが誰かと話しているのが見えた。 何だか真剣に話しているようなので邪魔をしては悪いかと思い、先に店の中でも見せて貰おうかと思ったのだが、近くを通りがかった時にハロルドさんの方から声を掛けられる。「おぉ、アキツグさん。いらしてくださったんですね」 「あ、えぇ、せっかくなのでお店を見せて頂こうかと。取り込み中の様でしたので、後程ご挨拶させて頂こうかと思っていたのですが」 「そうでしたか。いえいえ、お気になさらず。ちょうど話は終わったので。良ければ中で少しお話でもどうですか?」 「そのつもりでお伺いしましたので、ハロルドさんが良いのであれば」 「良かった。ではこちらに」そう言ってハロルドさんの案内で店の中に入っていき、応接室と思われる部屋に通される。何だか道中人の目を気にしていたように見えたのが少し気になるが、何かあったのだろうか?「さて、良くお越しくださいました。と言いたいところなのですが、実はアキツグさんにお願いしたいことがありまして。急な話で誠に申し訳ないのですが聞いていただけますか?」 「お願いですか?ハロルドさんにはお世話になりましたので、できることならお手伝いしますが、どのような内容でしょう?」 「ありがとうございます。お願いしたいことは単純で、サムール村までとある物資を届けて欲しいんですよ」 「物資の運送ってことですか。確かに私でもできそうな内容ですが、他の方には頼めない理由があるのですか?」 「えぇ。ですが、ここからの話はかなりリスクのある内容を含みます。もし、それを承知できないということであればここで断わって下さい」そこまで言うとハロルドさんは真剣な目でこちらを見つめてきた。 本当に急な話で混乱しかけていたが、向けられたその視線からそれだけ切羽詰まった状況だということが読み取れた。「そのリスクというのは命の危険なども含まれるのですか?」 「場
次の日、荷物を準備して1階に降り朝食を用意してくれているリリアさんに今日街を出ることを告げる。「リリアさん、おはようございます」 「アキツグさん、おはようございます」 「急で申し訳ないのですが、仕事の関係で今日街を出ることになりました。短い間ですがお世話になりました」 「えぇ!?今日ですか?それはまた急な話ですが、仕事なら仕方ないですね。では、残りの宿代をお返ししますね。少々お待ちください」 「いや、それはチップとして取っておいてください。宿のサービスも良かったですし、リリアさんの歌にはそれ以上の価値がありましたから」 「まぁ!ほんとにお上手ですね。それではありがたく頂戴いたしますね」 「えぇ、なので最後の朝食にも期待してます」 「あらあら、それじゃ腕によりをかけて作らないと」そうして特製の美味しい食事を頂いた俺はリリアさんに別れを告げて、冒険者ギルドに向かった。 冒険者ギルドに入ると昨日言われた通り受付で名前を告げ、お勧めの冒険者を紹介して貰う。「俺の名はクロヴだ。よろしく頼む」 「旅商人のアキツグです。よろしくお願いします」クロヴさんは24歳ぐらいで長めの黒髪を後ろで縛っている。 体格は中肉中背で、身長が170センチぐらいある俺より頭1つ分大きい。 一人だけというのが少し意外だったが、ハロルドさんには何か考えがあるのだろうと思い一先ず気にしないことにした。 簡単な自己紹介を終えて、今後の予定についても伝える。 クロヴさんも問題ないという話だったので、さっそく街の入り口近くにある馬車の待機場に向かうことにした。 待機場に着くと昨日見せて貰った馬車が確かに停まっている。荷台には荷物も積み込み済みのようだ。 馬車を受け取り予定通りサムール村へ出発する。街から出る際に検問もあったが特に疑われることもなくすんなり通ることができた。 しばらくは街道をまっすぐ進むだけで危険もなさそうなので、クロヴさんに話を振ってみた。「クロヴさんは冒険者になってどのくらいなんですか?」 「7年ほどだな。とい
次の日も特に問題など起きることもなくサムール村へ向けて順調に、旅路を進んでいた。 お昼頃になって、そろそろ昼食を取ろうと馬車を止めると、近くから動物の鳴き声の様なものが聞こえてきた。 念のためとクロヴさんが様子を見に行き、しばらくすると猫の様なものを抱えて戻ってきた。「ハイドキャットだな。隠密性に優れていて見る機会なんてほとんどないんだが、どうやら怪我をしているらしい」見てみると確かに後ろ足に切り傷の様なものができている。他にも細かな擦り傷があるところを見ると何かから逃げてきたのかもしれない。 こちらが診ている間もハイドキャットは逃げる様子もなく、大人しくこちらの様子を伺っていた。 危険もなさそうなので、傷薬を取り出して手当を行う。傷口に触れた時には少し痛そうにしたものの暴れることもなく無事に手当を終えることができた。 するとハイドキャットは感謝するかのように「ニャァ」と鳴いた。 そしてその声に反応するかのようにスキルレベルが上がったことが分かる。-------------------------------- スキル:わらしべ超者Lv4 (解放条件:特定条件下で相手が提供に同意する) 自分の持ち物と相手の持ち物を交換してもらうことができる。 自分の持ち物と各種サービスを交換してもらうことができる。 手持ちの商品を望む人に出会える。 条件を満たした相手と知識を交換できる。ただし相手からその知識は失われない。 ※相手が同意したもののみが対象となる。交換レートはスキルレベルと相手の需要と好感度により変動する。 スキル効果により金銭での取引、交換はできない。--------------------------------知識の交換?情報を提供して貰えるとかそういうことだろうか?確かに商品の流通状況とか危険な地域の情報とかを知ることができれば便利かもしれない。にしてもこの解放条件の特定条件下ってなんだ?さらに相手が提供に同意するって、どうやって同意して貰うんだ?スキルのことを話せと?条件っていうのも書かれ
野営地での夕食も終わり、今日も就寝しようとテントに入ったところで 連れてきていたロシェッテから声を掛けられる。『人間が近づいてきてるわ。それも気配を隠してる。気を付けて』 「まさか夜襲?わ、分かった。ロシェッテは動けそうか?」 『えぇ、あなたのおかげでだいぶ良くなったわ。歩く程度なら問題なく、無理すればしばらくは走れると思う』 「そうならないことを願いたいけどな」テントを出てクロヴさんのもとへ向かう。とはいえ、素人の俺が先に気づくのはおかしいからどう話したらいいか。クロヴさんが気付いているといいのだが・・・そう考えていると、クロヴさんもこちらへ向かってきていた。「あ、クロヴさん、なんか妙な胸騒ぎがして出てきたんですけど、周囲の様子は変わりないですか?」 「勘は良いようだな、どうやら敵のようだ。気配の隠し方からただの夜盗でもないと思う。アンタは荷台に居てくれるか。護衛対象には固まっていて貰った方が守りやすい」 「分かりました。お願いします」クロヴさんも気づいていたようだ。彼の指示に従い荷台に乗り込んで周囲の様子を伺う。すると、身近でゴトっと木箱が音を立てた。 俺が荷台に飛び乗った時の振動で中で荷崩れでもしたのだろうかと思ったのだが、そこにロシェッテが声を掛けてくる。『この状況でその子、木箱に隠したままでいいの?狙われてるのその子なんじゃない?』 「その子?」 「え?もしかして知らずに運んでるの?私はそういう仕事なのかと思って気にしてなかったけど」待て待て!ということは、もしかして依頼の積み荷って人間なのか?ハロルドさんのことだからまさか誘拐とかではないと思うが、だとするといったい何の目的でそんなことを? いやいや、今はそれよりこの状況をどうするかだ。 もし逃げる必要があるのなら木箱に入ったままだと致命的になりかねない。 だが、まだ戦っても居ないしクロヴさん達が問題なく対処できるのなら中身を確認する必要はないだろう。 湧き上がってくる好奇心に蓋をしてまずはクロヴさんと襲撃者の方を確認する。 全身黒ずくめの
その声に思わず振り向くと、そこには美しい金髪を夜風に靡かせて気持ちよさげに佇む美少女の姿があった。 思わず見惚れていると、背後でざざっ!と地面を擦るような音がする。見るとセシルさんとクロヴさんが跪いている。 え?え?知り合い?もしかしてそんなに高貴な人なのか?と、咄嗟に真似をして跪こうとしたところで、当の本人がそれを止めた。「そういうのは良いわ。ここは王宮じゃないし、今は身分を隠さないとでしょ?話し方とかも普段通りで良いから」 「しょ、承知しました、エルミア様」 「もう、話聞いてた?私のことはミアとでも呼んで。様もいらないから」 「いや、流石にそれは・・・」王宮?エルミア様?まさか貴族どころか王族なのか?いや、まだ宮廷魔術師とかの宮廷勤めの臣下の可能性もあるけど、この子くらいの年齢でそんな階級に上がれるとも考えにくい。とするとやっぱり・・・「私がいいって言ってるんだからいいの。人前でだけなんて面倒なことしてぼろが出たらそれこそ元も子もないでしょ。まずは生き残ることを考えないと」 「分かり、いや分かった。それじゃ目的地まではミアと呼ばせて貰う」 「それでいいわ。あなた達もいいわね?」 「えぇ、わかったわ」 「あ、あぁ分かった」二人は状況を鑑みて意識を切り替えたようだ。俺はまだ王族というものに対する認識自体が薄い戸惑っているだけだったのだが、一先ず二人に合わせて普通に接するように返事をした。「よろしい。それじゃまずはあなた達の名前も教えて貰える?大体隠れて聞いてはいたけど一応ね」 「クロヴだ。よろしく頼む」 「セシルよ。よろしく」 「アキツグです。よろしく」 「皆よろしくね。さて、都合上話を仕切っちゃって申し訳ないけど、後はどこへ向かうかについて。サムールかカルヘルドかだけど、私はカルヘルドへ向かったほうが良いと思うわ」 「理由を聞いても?」 「さっきあなたが言った通りサムール村の方には罠が張られている可能性が高いからよ。村人が人質になっている可能性もないとは言い切れないわね」 「村人が人質にって
次の日、昨日と同じように俺たちは二人で馬車を進ませていた。 そう二人である。昨日の襲撃でセシルさんが居ることはバレている、そして積み荷の中に王女が居ることも多分バレているだろう。そのため襲撃者には人数を誤魔化しても意味はないのだが、他の旅人には効果がある。もしもやつらが他の旅人から話を聞いた時に人数が違えば勘違いさせられるかもしれないという苦肉の策だ。 それならセシルさんだけが別行動でもいいのではないかという話もでたのだが、エルミアは昨日見惚れた通りその見目ですごく目立つ。輝いているような金色の髪に、形の良い唇。すっと通った鼻筋に深い緑色の瞳。 そして何より、動きやすくて汚れてもいいように簡素な服を着ているのに、気品を感じさせる物腰が人目を引くのだ。 彼女がこんな馬車で旅をしていたら、すれ違う人達に間違いなく只者ではないとバレるだろう。ということから、彼女には昼間は変わらず木箱に隠れて貰い、夜になったらテントで休んで貰うという結論になったのだ。 ちなみにロシェッテも姿を消すのはいつでもできるという話だったので、昼間は姿を消すようにしてもらっている。 そして今、御者はクロヴさんにお願いしている。昨夜の襲撃の影響か上手く寝付けなかった俺は荷台で休ませて貰っていた。「ねぇ。アキツグさん、一つ聞いても良い?」昨日のことを思い出しながらぼ~っとしていると、周りからは分からない程度に横にした木箱の蓋を開けたエルミアが話しかけてきた。「あぁ、なんだ?」 「昨日、ハイドキャットと話してたでしょ。どうして言葉が分かるの?」ギクッ!思わず顔が引き攣る。そういえばあの時はまだ彼女の姿は見てなかったから意識せずにロシェッテと会話してしまっていた。「い、いや、助けて貰ったから礼を言ったりしただけで、言葉が分かるわけじゃ・・・」 「それは無理があるでしょ。私が木箱の中に居るのも当ててたし、分かったつもりの会話にしては内容がしっかりしすぎてたわ」 「まぁ、そうだよなぁ。頼むから他の人には秘密にしてくれ。俺はスキルでハイドキャットの言葉が分かるんだよ」 「スキルで?それは珍しいわね。王宮でもそん
朝になって俺達が待ちきれずに王城へ向かおうとすると、そこにちょうど兵士の一人が伝言を伝えに来た。 どうやら国王の暗殺計画は失敗に終わり、ミア達も無事だったようだ。 それは良いのだが、何故か俺達が功労者として国王との謁見を許可されたという話まで一緒について来ていた。「えぇ、、どうする?これ」 「どうするも何も、私達に断る権利なんてないと思いますよ」困惑する俺に対して、カサネさんも同じように動揺しながらもどうしようもない事実を告げる。「そうだよな。国王様からの謁見の招待を断るなんて、よほどの理由がないと無理だよな・・・」ミアとは出会った状況が特殊だったから、その後もそれほど気負わず付き合えているが、いきなり国王と知ってる相手となると恐れ多さが出てきてしまう。「私も気持ちは分かりますが、あのミアさんのお父様なのですし少なくとも悪い方ではないと思いますよ」 「まぁ・・・そうかもな。それに功労者として呼ばれてるわけだし、変なことにはならないはずだよな。緊張はするけど」 「えぇ。礼儀に気を付けて言われたことに応えさえすれば大丈夫だと思います」カサネさんにそう言われて俺は気づく。「俺、この国の礼儀作法とか全然分からないぞ!?」 「そう言われると私も不安かも。商業ギルドで聞いてみましょうか」 「何で商業ギルドなんだ?」 「何となく冒険者ギルドよりは、礼儀が大事な気がしません?あと情報を聞くならギルドが一番無難かなと思ったんです」確かに。一番良いのは王城の人だろうが、昨日の騒動が収まっていない今言っても邪魔になるだけだろう。そういう意味ではギルドは正しい判断だと思う。「そうだな。商業ギルドで聞いてみるか」やるべきことが決まったところで早速商業ギルドに向かった。 流石に王都にあるギルドだけあって謁見の際の作法についても知っていた。 二人で少量の謝礼を払い簡単な講義を受けた。 幸いなことにそれほど難しい内容ではなかったので、これなら大丈夫だろう。 その後も衣装など、失礼にならない程度
宿に戻った俺達は、その日は念のため同じ部屋で交代で眠ることにした。 今更俺達を襲うことはないと思ったが、万が一があってミアの足を引っ張ることだけは避けたかったからだ。 結果としては予想通り、何事もなく朝を迎えた。「さて、今日が本番だが俺達はいつも通りに振舞うしかないか。もどかしいな」 「そうですね。自分達だけが何もできないのはもどかしいです。でも、今日はそれが私達にできることですから頑張って自然体を装いましょう!」カサネさんが敢えて楽しげな声でそう言った。 そうだよな。俺達が変な態度を取って、奴らに気づかれでもしたら最悪だ。「あぁ。折角だしミアが教えてくれたこの街のおすすめポイントでも回るか!」 「えぇ、そうしましょう」俺もその声に合わせるようにしてそう言った。 悔しいが俺達にできることはないのだ。割り切ることも大事だろう。-------------------------------- Side.エルミア(ここからはエルミア視点のお話になります)アキツグたちと別れた後、私はまずゴドウェンに事情を説明し近衛兵達に夕食は控えめにして、眠たげな様子を見せるように指示を出した。 睡眠薬の混入を止めれば簡単だが相手に気取られては意味がないのだ。 そして私自身はさも手に入れた希少なハイドキャットを見せびらかしたい風を装いながら、手当たり次第に皆のところを回っていった。 これも特定の人物のところだけを当たって怪しまれないようにするため。その中で信頼の置けるものにだけ作戦を伝えた。 夜になったら私は何も知らないふりをして寝たふりをするしかない。最後を他の人達に任せるしかないのはもどかしいが、私が行っても足手まといにしかならない。 だから、私にできるのはいざという時に人質にならないよう自分の身を守ることだ。 深夜になると、王宮内が俄かに騒がしくなる。計画が実行されたのだ。(お父様、ご無事かしら)敵の規模、そして内通者が誰か分からなかったのが不安材料ではあるが、計画自体は割れているのだ。防ぐことはそ
朝になると俺達は早めに宿を出て王城まで向かった。 少しでもミアが会うための時間を作りやすくするためだ。王城の入り口に着くと兵士さんにゴドウェンへの繋ぎを頼んだ。 しばらくすると奥からゴドウェンがやってきた。「なんだ?今日は面会の約束は聞いていないが」 「それなんですが、実はこのハイドキャットをエルミア様に献上しようと思いまして。昨日話している時に大変気に入られた様でしたので」俺の言葉を聞くとゴドウェンさんはロシェの方を見た。今日は最初からロシェに姿を見せて貰っていた。「ふむ。そいつをか。まぁ確かに大人しそうだが、お前は良いのか?」 「もちろんです。エルミア様に気に入って頂ければなによりですので。それで急な話で申し訳ないのですが、本日エルミア様にお時間を取って頂けないかと」 「今日か?それはまた難しいことを言うな」 「申し訳ございません。私達にも予定がありまして。無理にとは言いませんのでエルミア様に聞くだけでも聞いていただけないでしょうか?」無理がある話なのは理解している。だが何とか通さないといけないのだ。 俺はなるべく不自然にならない様にお伺いを立てた。「まぁ、聞くだけなら聞いてみよう。そこの部屋でしばらく待っていてくれ」そう言ってゴドウェンさんは王宮の方へ向かっていった。 俺達は言われた通り部屋に入って返事を待った。(とりあえず、第一段階はクリアか。あとはミアがこちらの意図に気づいてあってくれればいいが)しばらくしてゴドウェンさんが戻ってきた。なんだか少し腑に落ちないという様子だったが、「姫様がお会いになるそうだ。今からで構わないという話だから案内する」と返事が返ってきた。 良かった。これで何とかなりそうだ。 その後、昨日と同じように王宮のミアの部屋まで案内された。「エルミア様、彼らを連れてきました」 「ありがとう。あなたは下がっていて」 「承知しました」というとゴドウェンさんは昨日と同じように部屋の前で待機した
慎重に扉を開けるとそこには地下への梯子が掛かっていた。梯子の下の方も真っ暗なので、降りた先にまだ道があるのだろう。 梯子を下りて、少し先に進むと先の方に小さな明かりが見えた。『気を付けて何人かいるわ』ロシェの言葉により注意して進む。足音はしないが何かを蹴飛ばしてしまったら、そちらの音まで消すことはできないからだ。 そうして近づくと段々と男の怒鳴り声が聞こえてきた。「何やっているんだ。慎重に行動しろと言ったはずだろう!襲い掛かった挙句、捕まえることもできずに逃げ帰ってきたとは。お前は計画を台無しにする気か!」 「い、いやだから慎重に行動したんですよ。商人の男一人だけになったところで角から不意打ちするところまでは上手くいったんです。なのに、男が何かしたようにも見えなかったのに突然手に痛みが走ってナイフを落とされたんです」逃げてきた男は必死に弁明していた。「そんなわけがないだろう。今まで見た限り奴はただの商人だ。そんなことができるようには・・・いや、待て。そうかハイドキャットか」 「ハイドキャット?」 「奴らには従魔登録したハイドキャットが居るらしい。まったく姿を見せないから偽情報か別行動でもしているのかと思ったが、ずっと姿を消したまま同行していたのか」上司らしき男の言葉に周りの男達も含め動揺の声を上げる。「な、何でそれを教えてくれなかったんですか?それさえ知っていれば俺だって安易に襲い掛かったりしなかったですよ!」 「黙れ!ならお前はハイドキャットの生態を詳細に知っているのか!長時間隠密行動ができるのならいつ居て、いつ居ないかの判断などできんだろう。それに言い訳したところでお前の失敗した事実は覆らん」 「そ、そんな・・・」男はそれ以上何も言えず沈黙した。「まぁ、済んだことは仕方ない。あくまで奴らを人質に取るのは囮用の計画だ。主目的に支障はない。二日後、内通者の手引きで王城内部に侵入する。そのまま深夜まで待機し、モルドナム国王を暗殺して内通者と共に脱出する。その日、兵の食事には内通者が睡眠薬を混ぜる予定になっている。起きている者もいるだろうが
「えっ?それじゃ、カサネさんはロシェの言葉分かるようになったの!?」 「はい。アキツグさんのスキルのおかげで」以前にミアがロシェと話したいと言っていたので、知識の交換の部分については話すことにした。「え~いいなぁ。知識、知識かぁ。流石に国の内部に関わることは渡すわけにはいかないし。私個人で出せるもの・・・う~ん・・・」彼女は必死に考え込んでいるが、なかなか良い案が出ないらしい。王女といえば専門的な知識は王族に関わるものが多くなるのだろう。「まぁ、そこまで無理して今考えなくても・・・」 「ダメ、せっかくのチャンスだもん。私もロシェと話したい!」今すぐじゃなくてもと思い提案した俺の意見も言い終わる前に却下された。 それほど彼女にとっては大事なことらしい。「そうだ!私が今まで書き留めたこの王都と王国周辺の情報と交換ならどうかしら。大陸地図もあるわよ。記載があるのは調査済みのところまでだけど」そう言いながら彼女は部屋の隅にあった棚の引き出しから紙束と地図を取り出して持ってきた。「情報って大丈夫なのか?」 「あぁ、情報って言っても機密的なものではなくて。私個人が趣味で調べたものよ。王都のお勧めポイントとか周辺の町や村に行ったときに知ったこととかね」そう言って彼女が見せてくれたのは確かに一般の人でも知り得そうなものだった。 昨日カサネが絶賛した洋菓子店のことも記載してある。 そして大陸地図、これもかなり遠方の情報まで記載されていた。 今まで行き当たりばったりで行動していた俺からすれば是非とも欲しいものだった。「「相手が王都ハイロエント及び周辺地域の情報の交換に同意しました。ハイドキャットの言語と交換可能です」」カサネさんの時と同様にそんな声が聞こえてきた。「交換できるみたいだ。俺としても有難いし交渉成立だな」 「本当?やった!ロシェ、私もお話しできるようになったよ!」話を聞いていたロシェはミアの方に近寄って顔を摺り寄せた。『良かったわね。私もミアと話せるよう
王宮に入りとある一室に通されるとそこにはエルミアが待っていた。「アキツグ!ロシェ!来てくれて嬉しいわ」こちらに気づいたエルミアは駆け寄ってくるとロシェに抱き着いた。『ちょっと、急に抱き着かれたらびっくりするでしょう。まったくもう』ロシェはやれやれといった感じだが、嬉しそうにされるがままになっている。 ゴドウェンさんは気を利かせたのか部屋の外で待機してくれるようだった。「あら?そちらの方は?」そこで漸くカサネさんの存在に気づいたようでミアが尋ねてきた。「初めまして。冒険者のカサネと申します。お会いできて光栄です」そう言うとカサネさんは丁寧にお辞儀した。「初めまして。私はエルミアよ。アキツグさん達の仲間なのよね?今はプライベートだしそんなに畏まった挨拶は不要よ。気楽にして頂戴」 「え、えぇと・・・はい。分かりました」カサネさんはしばらく視線を彷徨わせていたが、俺達の様子を見て観念したのかそう返した。「なんにしても、ミアが無事に戻れていたみたいで安心したよ。南でも戦闘があったみたいだから心配していたんだ」 「そうなの。あの後カルヘルドを出た後も襲撃者達に襲われてね。流石に真正面からぶつかっては勝てないと悟ったのか途中で引いたみたいだったけれど」そう言いつつもまだ何か気にかかることがあるのかミアの表情は晴れない様子だった。「何か気になることがあるのか?」 「う~ん。なんだか王宮に戻ってからも偶に誰かの視線を感じる気がするのよね。王城内に怪しい人物が居れば分かるはずなんだけど」何だか不穏な話になってきた。もしかしてまだ例の襲撃者の連中が諦めずに何かを企んでいるのだろうか?「そういえば、例の襲撃者達については何か情報掴めたのか?」 「あぁ、あの連中ね。こちらでも何名か捕まえたんだけど、下っ端には詳しいことは何も知らされていないみたいでね。結局何も分からなかったわ」 「そうなのか。だとするとまだミアが狙われている可能性もあるのかもしれないな」 「そうね。こ
扉を閉めたゴドウェン隊長はふぅ、と一息つくと俺達に座るように促したあと自身も椅子に座った。「突然悪かったな。あんなところであの時の話をするわけにもいかないので場所を変えさせてもらった。随分早いが姫様に会いに来たのか?」 「いや、あの後カルヘルドの南で戦闘があったって聞いて、少し心配になりまして。無事なのかどうかだけでも確認できればと思ってきたんです。あとは王都の観光も兼ねてました」 「なるほどな。姫様はもちろん無事だ。だが、そんな話姫様が聞いたら怒りだすぞ。姫様はお前達のことを随分気に入ったみたいでな。もし訪ねてきたら必ず連絡するようにと指示されていた」 「そ、そうなんですか。いえ、もちろん会いたくなかったわけではなく俺なんかが面会を求めても許可されるはずがないと思ったわけでして」 「まぁ、確かに公式の場での面会は難しいだろうな。だが、非公式であれば方法はある。今確認をとっているから少し待ってくれ」と、そこでちょうど扉がノックされ、一人の兵士が入ってくるとメモの様なものをゴドウェンに渡す。「ふむ。明日の昼過ぎであれば時間を作れるそうだ。悪いが明日もう一度こちらまで来て貰えるか?入り口の兵士に俺の名を伝えて貰えば迎えに行く」 「分かりました。色々とお手数お掛けしてしまいすみません」 「なに、これも仕事の内だ。気にしないでくれ」そのあとまた兵士に呼ばれたゴドウェン隊長と別れて階段を下りていく。「なんか、意外なほどあっさり面会の段取りができてしまったな」 「あの方が近衛隊長だからでしょうね。普通ならこんなに簡単に話は通らないと思いますよ」 「そうだよな。城の入り口で会えたのは幸運だった」俺が頷いていると彼女がふと気づいたように聞いてきた。「そういえば、私は前回の件には関わっていないんですけど、明日同行しても良いんでしょうか?」 「あの場でゴドウェン隊長に特に何も言われなかったし大丈夫じゃないか?もし明日何か言われた時は悪いけど街の方でも見て回っててくれ」 「そうですね。分かりました」その後は広場の方まで戻り、珍しそうなお店
カサネさんと合流してから近場の飲食店に入り、お互いの情報を交換する。「アキツグさんが良い宿を抑えてくれて助かりました。こっちは素材が高く売れたのは良かったんですけど、そのせいか妙に高そうな宿を紹介されてしまって」 「これだけの街だし裏で繋がりとか小競り合いとか色々あるんだろうな」 「そうですね。ライバル店も多そうですし。それにしてもえっと、ミアさん?は戻れていたようで良かったですね。会いに行かれるんですか?」旅の途中でカサネさんにはエルミアとの出会いも話していた。 当然ながら話した時は、信じられないといった顔で驚かれたが。 確かにミアからは遊びに来てと言われていたが、一般人が気軽に会えるような相手ではないだろう。「いや、流石にな。行ったところで門前払いされるだけだと思うし。無事だったのが分かれば十分だ」 『人間社会っていうのは面倒ね。友達に会いに行くことすら憚れるなんて』 「そう言われると辛いが、こればっかりはなぁ。まぁ、今なら隠れて会いに行けるかもだけど・・・いや、姿を隠しても王宮には感知する魔法くらい掛かってそうだな」 「怖いこと考えますね。もしそれで捕まったらどんな刑に処されるか。。」 「想像したくもないな。やめておこう。まぁ、でもせっかく王都まで来たんだ。近くまで見に行くくらいは良いだろう」 「ギルド証などで身分を証明できれば王城の入り口付近までは近づくことが許可されているみたいですよ」 「それじゃ、宿で部屋を取ったら行ってみるか」王城は長い石階段を上った先にあった。階段には他にも城を一目見に来たと思われる人達の往来で賑わっている。 俺達も同じように城の入り口まで来ると、真新しそうなしっかりした城門の奥には広場の様なものが見え兵士たちの訓練風景を見ることができた。王宮はさらに奥の方にあるようである。「これは、城の中だけでもかなり広そうだな」 「ハイロエントはこちらの大陸でもかなりの勢力を持つ王国みたいですから。それだけ防衛にも力を入れているのでしょう」そんなことを話していると、後ろから聞いたことのある声が掛けられた。
スキルの検証も終えて、その後はお互いのこれまでの話などをしながら旅を続けていた。「アキツグさんはまだこの世界に来て1か月程度なんですか。それでもうこんな風に馬車で旅をしているなんてすごいです。私なんて最初の二か月くらいは村でこの世界のことを知ったり、生活に慣れるのに精一杯でしたよ」 「元々旅や野宿には慣れていたからな。俺の場合は生活環境を整えるためにも取引するしかなかったし」 「村の人に助けて貰えた私は運が良かったです。スキルのことを学ぶ時間もありましたし」 「そういえば、カサネさんのスキルってどんなのなんだ?魔法とは別なのか?もちろん話せないなら聞かないけど」 「アキツグさんのも教えて貰いましたし、話しますけど他の人には内緒ですよ?私のスキルは魔法の才能強化です。魔法の成長速度とか消費魔力の軽減とか魔法に関する能力を強化してくれます。複数の魔法を扱えるのもこのスキルのおかげですね」カサネさんは火、水、風、地の四属性の魔法を扱えるらしい。普通の魔法使いは相性の良い一、二属性程度が普通だとか。 カサネさんが二年くらいでBランクまで上り詰めたのも納得の理由だった。もちろん才能に驕らずに技術を磨き続けた彼女の努力があってことだが。「新しい魔法を覚えることもあるので、もしかしたら交換した魔法をまた覚えられる可能性はあるのかもしれませんが、一度失った魔法を覚えられるのか確証が持てなくて。。すみません」 「いやいや。俺もスキルのこと分かってない部分あるし、慎重になるのは当然だよ」カサネさんは申し訳なさそうに謝っていたが、この世界に来て魔法が頼みの綱だった彼女にとってその魔法を手放すのを躊躇うのは当然の反応だろう。 そんな話をしながら数日後には、王都ハイロエントに到着した。 ハイロエントは遠目から見てもかなり大きな都市だった。周囲を城壁がぐるりと取り囲み、街の奥の一段高くなった所に城が築かれている。城の中央には大きめの庭と王宮が作られているらしい。 検問を通り城下街に入ると、今までよりさらに賑やかな街並みが目に入ってきた。「これはすごい人通りですね。流石王都です。エストリネア大陸の方でもこ